Topics
トピックス

「紀尾井清堂・ガラスに包まれた建築がつくる静謐な空間」

2025.12.20

― 内藤廣氏が描いた、都市に開かれたランドスケープ ―

すっかり寒さを感じる季節になりましたが、あの暑かった夏の日に、千代田区紀尾井町にある紀尾井清堂を訪れました。

最寄り駅から歩き、緩やかな坂を下っていくと、オフィスビルが立ち並ぶ都心の風景の中に、忽然と姿を現します。
都市のスケール感の中でひときわ印象に残るのは、建築そのものだけでなく、外構と一体となった佇まいです。

周囲のビル群と比較しても異彩を放つ理由の一つが、建物を取り囲むように設えられたガラスウォールと、その外周空間のあり方にあります。
ガラス越しに感じられる内外の連続性が、敷地全体をひとつのランドスケープとして成立させています。

紀尾井清堂は、建築家・内藤廣氏によって設計された建物です。
「使い方は完成してから考えるので、思ったように造ってください」というクライアントの言葉を受け、建築だけでなく、外構・動線・光の取り込み方まで含めた自由度の高い空間構成が実現しています。

敷地は角地で、前面道路には高低差があります。
このレベル差を活かした外構計画により、エントランスは見る方向によっては地下階として現れ、都市の中に奥行きのあるアプローチ空間が生まれています。

外部から地下へと導かれるエントランス動線は、単なる通路ではなく、光と影を体験するための園路のような存在です。
ガラス越しに差し込む自然光が屈折し、地下空間に柔らかな陰影を描き出します。

この地下空間は、「東日本大震災の鎮魂の場」として設けられた場所です。
外構空間を通して導かれる光、風に揺れる葉の影、雲の流れによる表情の変化が、静かで深い時間をつくり出しています。

一度建物の外周へと出て、建築をなぞるように設けられた園路を歩きながら、再び室内展示空間へ。
内と外を行き来する動線計画が、空間体験にリズムを与えています。

内部は天井まで吹き抜けた大空間となっており、そのスケール感を引き立てているのも、トップライトからの「光の設計」です。
各階に掲示された資料を読み進めながら、自然と上階へと導かれていきます。

最上階では、RC造の骨太な梁と外部からの光が交差し、地下とは異なる表情の空間が広がります。
ガラス越しに見える空と雲の移ろいは、都市にいながらも、時間の流れを穏やかに感じさせてくれます。

再び最下層へ降りると、内藤廣氏の数々の言葉が静かに展示されており、建築への思想が、空間体験の締めくくりとして語りかけてきます。

建築単体ではなく、外構やランドスケープ、光の取り込み方まで含めて完成する紀尾井清堂。
都市の中にありながら、静謐で奥行きのある外部空間のあり方を強く印象づけられる建築でした。

~ご相談はこちらから~

・リンク

・紀尾井清堂

・その他トピックス

Norm Architectsの想いとデザイン哲学

「安藤忠雄建築に触れる旅」 シンプルなデザインの中に宿る個性と感性

【大阪・関西万博2025レポート ① 】オランダパビリオンに見る植栽デザインと外構計画のヒント  ~建築コンセプトと調和する緑のあり方を探る~

MIHANEガーデンデザイナー
榊原正樹(2級建築施工管理技士、グリーンアドバイザー)

✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ 
MIHANEでは「”下草”からはじまる、ガーデンデザイン。」をテーマに、お庭や外構デザインをご提案させていただいております。
新築エクステリア、ガーデンリフォームなどのご相談は、ホームページお問い合わせフォームよりお待ちしております。
対応可能エリアは以下となります。

千葉県(市川市、松戸市、流山市、柏市、我孫子市、野田市)

« | »